医療品郵送規制問題とは?

医薬品郵送規制問題とは

image4平成21年6月、改正薬事法の施行に伴い、第三類以外の医薬品の郵送販売が全て行えなくなりました。(これまで郵送が可能であった、要処方せん薬以外の医療用医薬品、薬局製剤、一般用医薬品の第一、二類の全てが規制対象です)ただし、現在は経過措置により、平成21年5月31日以前からの継続服用者については、継続している同一医薬品についてのみ平成25年5月31日まで郵送が認められています。

これは、平成21年2月6日に公布された厚生労働省令によるものです。
以下に、今回の省令と、厚生省の考え方についての資料を提示します。

薬事法改正に伴う省令(平成21年2月6日公布)

「郵便その他の方法による医薬品の販売等」施行規則

【新施行規則第15条の4、第142条(準用)】

薬局開設者又は店舗販売業者は、その薬局又は店舗以外の場所にいる者に、郵便その他の方法による医薬品の販売又は授与(以下「郵便等販売」という)を行う場合、次の1~3に掲げるところにより行わなければならない。

  1. 第三類医薬品以外の医薬品を販売し、又は授与しないこと。
  2. 当該薬局又は店舗に貯蔵し、又は陳列している医薬品を送付すること。
  3. 当該薬局又は店舗が郵便等販売を行うことについて広告をするときは、当該広告に薬局において掲示しなければならない事項と同じ情報を表示すること。

薬局開設者又は店舗販売業者は、郵便等販売を行おうとする場合、あらかじめ、薬局又は店舗ごとに、その薬局又は店舗の所在地の都道府県知事(その店舗の所在地が保健所設置市又は特別区である場合は、市長又は区長)に、次の1~3の事項を届け出るものとする。

  1. 当該薬局又は店舗の名称及び所在地
  2. 当該薬局又は店舗の許可番号及び許可年月日
  3. 当該薬局又は店舗の郵便等販売の方法

この省令により例外なく第3類以外のすべての医薬品の郵送販売を禁止するというのが厚生労働省の考え方です。

医薬品郵送規制の問題点

この医薬品郵送規制により、漢方薬を服用しておられる患者の皆さんに深刻な事態が起きています。以下にその問題点を挙げます。

今回の規制で本当に困るのは、インターネットを利用する人よりも社会的弱者の方

  1. 高齢者(一人暮らし・足腰が悪い・老々介護)
  2. 雪国・山間へき地・離島の居住者
  3. 病床に伏せっておられる方
  4. 障害者とそのご家族

その他、共働き、妊娠中、育児中、遠方からでも薬を求めざるを得ない方(抗がん剤の副作用軽減・不妊治療などで、近くの医療機関・薬局では対応ができないケースなど)

インターネットもできない高齢者にとって、電話は最も重要なライフライン。しかも、健康に直結する医薬品を郵送販売に頼っているのにその手段を簡単に奪ってよいのでしょうか?

漢方薬局は患者さんのセルフメディケーションの拠点である

漢方薬局では、初回は対面して詳細なデータをとります。そのうえで、どうしても来られない場合に電話で相談してお薬を郵送しています。電話相談は心のケアにまで及ぶことも少なくありません。当然頼りにされているお年寄りや病気の方は多くいらっしゃいます。そのシステムを壊していいのでしょうか。

継続服用者に対する経過措置は出されましたが、実質意味をなしていません

  1. 継続服用中でも、薬が変更になった場合は送れない。(季節や服用経過で薬は変わるのが普通です)
  2. 平成21年6月1日以降に来た新規の患者には送れない。(患者さんの側からすれば、差別です)

厚労省は漢方薬局の実態について何も把握せずに省令を作っています。

今回の郵送規制は、元々インターネットによる医薬品販売を規制する意図で始まったものです。それが、すべての医薬品の郵送販売に規制が及び、漢方薬局にまで規制がかかる形となりました。

対面の原則をすべての業態に一律に敷くのは、実態を知らないゆえではないでしょうか

  • ドラッグストアでも、コンビニでも、スーパーでも、手軽に医薬品が販売でき、代理人でも購入できるのに、専門的な知識が必要とされる漢方薬を、専門家がデータもある自分の患者に、電話でよく話を聞いて販売することが、なぜ安全性において劣ると考えるのでしょうか?

伝統薬の推進は世界的潮流、セルフメディケーションは厚労省の方針、逆行しています

  • 伝統薬の推進は1978年にWHOがアルマ・アタ会議で採択したように、世界的潮流です。日本の伝統薬である漢方薬を衰退させてはならないのではないでしょうか。
  • 漢方薬局というセルフメディケーションの拠点を、それを推進すべき厚労省がなぜ壊すのでしょうか。(漢方薬は患者さんの自費で賄われます。医療費削減にも寄与しています。)

これらの問題点は、私達(社)日本漢方連盟や個々の漢方薬局に寄せられた、患者の皆さんの切実な声によるものです。患者の皆さんひとりひとりの健康を守る手段が損なわれぬよう、私達は活動しています。

医薬品郵送規制の経緯

平成17年12月

医薬品販売制度改正検討部会・報告(平成16年5月から全23回開催)

平成20年 9月

政令案・省令案のパブリックコメント募集(~10月)

※パブコメ総数2,353件のうち、反対2,303件(97%) 賛成50件(約3 %) しかし、これらの意見は全く反映されることなく、省令は、そのまま公布されることとなる(平成21年2月6日)。

平成21年 5月

第6回医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会(5月11日)

離島居住者、継続服用者への経過措置案を含む改正省令案が示されたが、問題点も多い。

【経過措置案】

  • 離島居住者:2年間に限り郵送可。
  • 平成21年5月31日以前からの継続服用者:継続している同一医薬品についてのみ2年間に限り郵送可。

<へき地等の居住者に関する問題点>

  • 薬局・薬店のない離島居住者には2年間の郵送継続が認められたが、それ以外のへき地は認められていない。(山間へき地・雪国、及び薬局・薬店のある離島など)

<継続服用者に関する問題点>

  • H21年6月1日以降の新規の患者は、送れない
  • 継続服用者も、処方が変更されると送れない
  • 2年後は一般用医薬品第3類以外の全ての医薬品が郵送できなくなる(漢方薬は全て規制対象)

改正省令案に対するパブリックコメント募集(5月12日~18日)

ケンコーコムと有限会社ウェルネットが国を提訴(5月25日)

一般用医薬品ネット販売の権利確認請求および違憲・違法省令無効確認・取消を求め、国を相手取って東京地方裁判所(東京地裁)に。

改正省令案に対するパブリックコメントの結果発表(5月29日)

◎コメント総数9,824。経過措置に賛成は0.5%、

  • 反対は10%強(内訳は「対象・品目・期間など経過措置を拡大すべき」
  • 「経過措置は不要・経過措置を縮小すべき」に二分された)
  • 「郵便等販売の規制をするべきでない」約85%

※「経過措置を拡大」及び「郵便等販売の規制をするべきでない」を合わせると約9割が規制緩和の方向であった。

平成21年 6月
改正薬事法施行(6月1日)

医薬品郵送が不可となる。(3類以外)

【経過措置案】は、問題点を残したまま施行される。

平成22年1月 内閣府直属の行政刷新会議にて、規制制度改革を行う分科会の設置発表。

分科会の医療介護分野のテーマの一つに、「一般用医薬品の郵便等販売規制の緩和」が取り上げられる。

平成22年1~2月

行政刷新会議 ハトミミ意見募集。

(国の規制・制度等おかしなルールの見直しにつながる意見募集) 寄せられた要望、約4,800件のうち約1,800件が「一般用医薬品の郵送等販売規制」の撤廃要望。更に、撤廃要望のうちの半数は漢方薬に関するものであった。

平成22年 3月

ネット通販に関する1審判決(東京地裁)ネット側敗訴

「服用者の安全性確保にはインターネット販売では不十分」

平成22年 4月

ネット通販裁判で、ケンコーコム側が控訴(4月13日)

平成22年10月

行政刷新会議「国民の声」意見募集。

(国の規制・制度等おかしなルールの見直しにつながる意見募集) 医薬品通販規制に関する意見総数8,180件。そのうち 漢方に関する意見が約98%(8000件超)。

平成22年12月

厚労省が郵送販売の届出をした薬局薬店を対象に「経過措置利用状況調査」を実施。結果は下記の通り。

  1. 郵送販売ツール:

    電話71% インターネット7.4%

  2. 郵送販売している医薬品 :

    「2類」「薬局製剤」ともに漢方製剤がトップ。

  3. 郵送販売の送付先件数:

    「2類」 94217件 「薬局製剤」 37911件 

  4. 発送先:

    同一県内へ「2類」24%「薬局製剤」61%

    県外へ「2類」75%「薬局製剤」38%

  5. 1店舗あたりの送付先件数:

    郵送販売を行っている薬局・薬店では、2ヶ月間に7~8件へ送付している所が多い。

平成23年3月

「規制仕分け」で「一般用医薬品の郵便等販売規制の緩和」が議題になり、規制緩和の方針が示される。

平成23年4月

厚労省より「2年間の経過措置再延長」の方針が示され、パブリックコメント募集。

【経過措置延長に関する意見】

  • 経過措置延長に賛成および更なる規制緩和を求める意見:2008件(99.6%)
  • 経過措置延長に反対(継続使用者のみ反対、薬局製剤のみ反対を含む):8件(0.4%)

【郵便等販売規制や販売制度に関する意見】

  • 経過措置対象ではない場合でも郵便等販売を認めてほしい:4404件(99.7%)
  • 対面販売の原則を守るべき:12件(0.3%)
平成23年5月

医薬品郵送販売規制に関し、経過措置期間を平成25年5月31日まで、さらに2年間延長する省令が施行。(5月27日)

平成23年7月

「一般用医薬品のインターネット等販売規制の見直し」について、規制・制度改革に係わる追加方針として閣議決定。 規制緩和の方向が示される。

平成23年10月~

日本チェーンドラッグストア協会(JACDS) が中心となり、「医薬品の安全で円滑な提供方法を考える有識者会議」を民間で立ち上げ、H24年3月2日まで全5回行われる。

日本漢方連盟として、制度改正前までの漢方薬局の郵送販売方法とその重要性について説明。(12月2日)

平成24年1月 内閣府行政刷新会議の「規制・制度改革に関する分科会」において、「一般用医薬品のインターネット等販売規制の見直し」の方針を重点フォローアップ項目に選定。
平成24年4月

民間の「医薬品の安全で円滑な提供方法を考える有識者会議」が報告書をまとめ、厚生労働省に提出。(4月6日)

第2類医薬品について、初回対面・記録を残した上での電話相談販売を基本に、条件付きでネット販売も容認する内容。

ネット通販裁判 控訴審で、ケンコーコム側 勝訴。(東京高裁)

1審判決を取り消し、「ケンコーコム側の1類・2類医薬品を郵送販売する権利を認める」判決が出された。(4月26日)

平成24年5月

厚労省が最高裁に上告。(5月9日)

(社)日本漢方連盟と漢方和漢薬調査研究審議会の共催「漢方・和漢薬郵送購入1000人アンケート」を実施し、その結果を厚労省に提出。(5月31日)
平成25年1月 ネット通販裁判 最高裁判決で国が敗訴。郵便等販売を規制する省令が実質無効となる。(1月11日)
平成25年2月 「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」が開催され、(社)日本漢方連盟が検討会委員に選ばれる。第1回検討会は2月14日に開催。